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家族のOKが出たのでメルセデスベンツ300SEの中古車を購入した

数ヶ月前に見たメルセデスベンツ300SEがまだ売れ残っていて、私の後ろ髪をおおいに引いている。 この間に他の車もたくさん見て、そこそこ値段の折り合いのつくものも見つけ、家族からはもうそれで決めたらと随分言われたのですが、どうしてもあと一歩を踏み出せないでいるのだ。 その理由がこの車。 なにしろ、Sクラスに乗るなら新型の方が良いと自分でも考えていたのに、なぜクラシックな車に惹かれてしまったのか。 そして、家族を乗せて走るのにこの車は適しているのかどうか。 何より、うちの大蔵大臣のOKサインはもらえるのか。 口に出してNGを言い渡されると、無理に購入した場合無用の衝突を生み出すので、やんわりと、上手に話を持って行かなければならないなと気を使ったり。 こういう時には自由に好きな車を買っては乗っている独身の友人が羨ましく思える時も正直あるが、それを言っても始まらない。 何より、一番の宝は家族なのだから、気を使って当然だし、気を使いあえる人がいるということの方が、より幸せなのだということはよく分かっているから。 さて、話をどう持って行こうかと悩んでいると、なんと家族の方から私の頭の中を読むようなことを言って来た。 気になる車が他にあるんでしょ、でも高いとか何かの理由で隠してるんでしょ、と。 これにはさすがに笑ってしまった。 長く一緒にいればこんなに簡単に思考を読まれてしまうものかと。 まぁ、私が単細胞なので態度に何もかも出てしまっていただけなのかもしれないが、こうなったら計算していても仕方がないので、話をして翌日には車を見せに連れて行く事にした。 さすがに皆、想像していなかったタイプのようで一瞬言葉を失ったようだったが、少なくとも悪い印象ではなかったのは表情で分かった。 外観で人を魅了する車は最近はほとんど無い。近未来的なデザインももう見飽きてきたし、コロコロとポップなフォルムをしたものはまるでオモチャのような可愛らしさだ。 そんな車ばかりが当たり前と思っている人に衝撃を与えるのがクラシックなモデルだと、皆の顔を見ていて気付いた。 自分もこれにやられたのかと。 その後は話が早く、どうにか大蔵省からもOKをもらって、晴れてうちに招く事ができるようになった。 久しぶりに胸の踊る車だ。 家族皆で大いに楽しもうと思っている。