中古車でキャデラックを買う理由を考えてみる

一般家庭において、自動車の購入は簡単なことではない。自動車の選択には、費用面と機能面の両方で、家族への配慮が必要となるのが通例だ。費用面では、たいていの自動車では購入金額が百万円を超えることに加え、自動車保険や駐車場料金等にかかる維持費、高騰しているガソリン代などは必要となる。また、ベビーカーや車いす等にも対応してファミリーで出かけるための居住性や、趣味や志向に合わせて必要となる機能性(自転車を乗せられる、ゴルフのキャリーバッグを乗せられるなど)、家の事情を考慮に入れた自動車の選択も必要となる。都心部では、「自動車は所有しない」という選択をとる家庭も増えている。レンタカーやカーシェアリングが年々手軽になり、必要な時に必要な時間だけ車に乗れることができるようになった。所有し続けるという必要性が、低下してきているのだ。そんな日本において、「キャデラックを購入する」と聞いたならば、多かれ少なかれ驚かれることは想像できるだろう。では中古車でこの車を購入するメリットは何なのだろうか。


キャデラックは、言わずと知れたアメリカ自動車のプレミアムブランドの一つであり、アメリカの繁栄の象徴ともいえる最高級ブランドである。ゼネラルモーターズが手がける歴史あるブランドは、先進性を100年以上も維持し、今でも快適装備のほとんどを兼ね備えて市場に出回っている。そんなこの車を先述の費用面と選択面に嗜好面を加えた3点で考えてみる。費用面としては、新車では400万円を越え、1,000万円クラスのものも多い。また、アメリカ社特有の燃費の悪さは有名な話であるし、高級車ゆえに維持費も高い。費用面で考えれば、新車では選びにくい。機能面では、乗り心地の良さと安全性に関しては長年に渡り高評価を維持している点が強みだ。これは新車であろうがなかろうが定評がある。一方で、特筆すべきは嗜好面だ。「アメリカの一時代を築いた車を乗りこなす」ことへの魅力は、ことにアメリカへの憧れを強く抱いて育ってきた30代～50代の男性にとっては大きな魅力である。そんな人にとっては、新車よりもむしろ中古車の方が魅力なことさえある。機能面と嗜好面を満たす車としてキャデラックを、費用面で手頃に抑えるために中古車で、という選択は、かつてのアメリカの栄光を見て現代を生きる男性の一つの自己実現の形と言えるのである。