中古車屋さんにて念願のプジョー309を試乗

わたしのプジョー309との出会いは、地方の某中古車屋さんでのことでした。当時お付き合いをしていた彼氏が社会人一年目、配属された場所が首都圏にあった実家から数百キロ離れた地方で、その新天地が環境的にも気候的にも車がないと生活できないような場所だったため、その時所有していたスズキのバイクを売り、新たに車を購入する決心をしました。社会人になりたてで、初めての一人暮らしだったため、新車を購入する金銭的余裕がなかった彼は、迷わず中古車を買おうと心に決めました。早速コンビニで中古車情報誌を購入し、彼と一緒にどんな車にしようかと胸を躍らせながらページをめくりました。誌面にずらっと並ぶブラックやホワイト、シルバーの日本車の中、ひときわ目立って見えたのが、真っ赤なプジョー309の写真でした。赤というのがわたしが大好きなカラーリングだったことに加え、憧れの外車。どうせ中古で買うのであれば、新車なら手が届かない外国産の車にしてみたらどうか、と彼に提案したのです。


次の週末、早速その情報誌に載っていた販売店に足を運びました。幸いなことに、まだ誰にも購入されずにその赤い車は店頭に綺麗に並んでいました。担当のスタッフさんが、なまり混じりに309の良さを熱弁してくれ、わたし達の購買意欲はさらに上がっていきました。いよいよ試乗、というところでわたし達のテンションは更に上がり、実際に乗ってみてその乗り心地にわたしは完全に魅了されてしまいました。気持ちのよい加速感に、身体がシートに縫い付けられるような心地がたまりません。田舎の一般道を、規定スピードぎりぎりで突っ走る様とそのエンジン音に、きっと通行人は振り返っているのではないかというような、何か特別めいたものも感じました。彼の方も、加速のよさ、ステアリングのよさ、シートの形状など、細かな場所までくまなくチェックしていましたが、その様子から興奮しているのが用意に伝わってくるほど、その車に惹かれているのが分かりました。中古とはいえ、当時若かったわたし達にはとても大きな買い物です。だから即決はやめようとあれほど事前に話していたのに、店を後にしたわたし達の手には契約に関する書類が握られていました。車との出会いも一期一会、直感で選んでもいいのかもしれません。